月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

ひらいたカード

トラン~1


一枚のカードがひらかれるとき
暴かれる秘密を あなたは
軽々しく愛だなんて呼ぶけれど
そんな乾いた眼をしたダミーなんかと
私はコントラクトしたくない

秘密を共有するなら
お城の入り口に立つジャック
夢の出口で待つクイーン
あらかじめ失われた記憶の塔の上で
手を振るキング
それとも
旧いならわしに隠された庭の
樹の下で居眠りをするエース

もし このうちの誰もが
裏切りの一手で生殺し
古典的な悲劇の結末さえ
許すつもりがないのなら

いつ終わるとも知れないゲームで
なぶり続けるつもりなら

愛を切り札にするつもりはないけれど
最後の手札が切れるまで
あなたの種も仕掛けも
明かさないで 

生かし続けるなら
吾を忘れさせてくれ

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「想像してごらんなさい」ポアロがつぶやいた。「四人の人間がブリッジをしていて、それに加わらない一人がそばの椅子に座っている。夜更けになって、暖炉のそばの男が死んでいることが発見される。四人のひとりが、ダミーになって休んでいるときに、そこにいって彼を殺したが、ほかの三人はゲームに夢中になって気づかなかった。ああ、それがあなたにふさわしい犯罪ですよ!  四人のうちの誰がやったのか? 」
(アガサ・クリスティ『ひらいたトランプ』)


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