月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

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郭公からのラブレター

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窓の外に降る雪が
きらきらと輝き どこまでも
けがれのないもののように見える雪が
おまえのこころを閉ざし
おまえの涙を凍らせるのであるなら

私は裸足でつめたい土を踏んで
雪の積もった槙の枝にしがみつき
剽軽な格好で逆立ちでもして
おまえが笑い出すまで
清らかで静謐な一日を
意地汚くみだしてやろう

電話ではふざけた言葉を返すおまえが
逢うと妙にクールなのは
きっと二月のヴァレンタインが近いせいだね

ひとりではやりきれない悲しみを
ふたりだからといって
ぬぐい去れるわけでもないのに

でも いつか
食卓を囲んで食べる温かなフォンデュから
立ちのぼる湯気が
窓にはりついた霜を溶かすように
私の何気ない言葉のひとつが
おまえのかたくなな胸に突き刺さることがあるなら

私はどんな寒い朝でも
逆立ちをしながら いつまでも
郭公のように同じフレーズをくりかえし
歌い続けていたっていいんだよ

*********************


…このみずうみのまん中に、お城にいるとき、雪の女王はすわっていました。そしてじぶんは理性の鏡のなかにすわっているのだ、この鏡ほどのものは、世界中さがしてもない、といっていました。
 カイはここにいて、さむさのため、まっ青に、というよりは、うす黒くなっていました。それでいて、カイはさむさを感じませんでした。というよりは、雪の女王がせっぷんして、カイのからだから、さむさをすいとってしまったからです。そしてカイのしんぞうは、氷のようになっていました。カイは、たいらな、いく枚かのうすい氷の板を、あっちこっちからはこんできて、いろいろにそれをくみあわせて、なにかつくろうとしていました。まるでわたしたちが、むずかしい漢字をくみ合わせるようでした。カイも、この上なく手のこんだ、みごとな形をつくりあげました。それは氷のちえあそびでした。カイの目には、これらのものの形はこのうえなくりっぱな、この世の中で一ばんたいせつなもののようにみえました。それはカイの目にささった鏡のかけらのせいでした。カイは、形でひとつのことばをかきあらわそうとおもって、のこらずの氷の板をならべてみましたが、自分があらわしたいとおもうことば、すなわち、「永遠」ということばを、どうしてもつくりだすことはできませんでした。でも、女王はいっていました。
「もしおまえに、その形をつくることがわかれば、からだも自由になるよ。そうしたら、わたしは世界ぜんたいと、あたらしいそりぐつを、いっそくあげよう。」
 けれども、カイには、それができませんでした。
(ハンス・クリスチャン・アンデルセン『雪の女王』)


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