月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

Guinness に学ぶこと


浅田選手がバンクーバー五輪で3Aを計三回成功させた快挙が、ギネス世界記録に認定されたというニュース。しかも日本側からの申請ではなく、「ギネス・ワールド・レコーズ社」(本社ロンドン)が日本支社を通じ日本スケート連盟などに記録認定を伝えてきた異例のケースだという。

試合から認定までの早さも含め、何もかも異例ずくめのようだが、何にしても日本人にとってはおめでたい話。五輪から世界選手権まで、日本選手たちの好成績にも関わらず、ファンの間に花曇りのようなもやもやが晴れなかった中では、まさに浅田選手の方から快気祝いをしてくれたようでありがたい限りである。


ところで、ギネス・ワールド・レコーズはその記録の認定・登録に以下のような最低基準を設けているという。

・記録達成が証明されること
・記録が数量化できること
・今後記録が破られる可能性があること

記録内容が国、地域に限定されるもの、または特殊すぎるものは却下される可能性があるらしい。
当然といえば当然の規定だが、興味深いのは三番目の「今後記録が破られる可能性がある」というところ。

どんな前人未到の偉大な記録であっても、もはや誰の手にも届かない、遥か銀河の彼方に浮かぶ最高得点のような類は、ギネスに残す価値はないということのようだ。

記録は破られてこそ価値があり、誰もがその夢にひとしく、挑戦への憧れを抱くことが出来るものであって始めて、誰もが素晴らしいと褒め称えることが出来るのだ。

浅田選手の3A三回は、確かに今現在、現役の女子選手の中に試合で3Aを跳ぶことが可能な選手がいない以上、なかなか破られることは難しいだろう。
しかし、過去に伊藤みどり選手がいて、今浅田選手がいるという現実が、未来にまた、3Aを跳びフィギュアの歴史を塗り替えることが出来る選手が現れる可能性に、通じていくということなのだ。

浅田選手は確かに素晴らしい選手だ。(某選手に倣って『日本の至宝』という人もいる。)だが彼女が真に素晴らしいのは、伊藤選手から村上選手他ノービスの選手まで綿々と続く山田ファミリーの一員として、伝統を受け継ぎ後進に繫いでいく系統の一端を担って、日本フィギュアの発展に寄与しているからにほかならない。


さて、ギネス認定を始めたお膝元は、ご存知アイルランドのビール会社ギネス醸造所である。

(1951年に、代表取締役だったサー・ヒュー・ビーバーが「最も早く飛ぶ猟鳥は」という議論がきっかけで、こういった疑問に答える本を出せば売れるのでは、ということで出版されたのがギネス・ワールド・レコーズ/ギネス世界記録本。だから当然、真に凄い世界記録から、めちゃくちゃ馬鹿馬鹿しい《失礼!》記録まで満載だが、それはそれで良いのだ。ちなみに冒頭の写真は、世界一耳が長いバセットハウンド種のジェフリー君。でももう更新されてるみたいだし。)

話をギネス醸造所に戻すが、日本でも良く知られていて、世界中で愛飲され、樽入りの生ビールが飲めるようになるほど普及した要因は、二つあるという。

ひとつはまず、商品そのものがしっかりしていたこと、そしてもうひとつは、イメージアップのプロモーションに力を入れ、遠距離輸送にも対応出来る技術開発に専心したことにあるらしい。また、その底に心的要因として、「アイルランドらしいビール」でイギリスを見返してやりたいという秘めた熱意があったことも見逃せぬ部分だろう。


日本という辺境の国が、どうしても苦手なロビイング。
フィギュアではオーサーの強引な遣り口などで、あまり良いイメージがなくなっているのも致し方ないが、しかしこれからISUの議会を控え、ルール改正などの議案提出で何とか現状をファンの望む方向へ変えていきたいのは、やまやまだ。そしてそのためには、何としても多くの国の賛同を得られる議案内容と、各国との友好的かつ現実的な摺り合わせが必要になってくるのだ。

オーサー始めカナダ陣営が日本の提案に対し、はなから否定的なことは分かりきっている。だからこそここはギネスの戦略に倣って、各国が改正へ頷けるしっかりした提案内容と、賛同奨励のためのロビイングが日本スケ連に出来るかどうかにかかってくる。

日本選手の優秀さはギネスも折り紙つきなのだから、これも追い風にして、何とかフィギュアファンみなが願う、ルールの改正で偏向採点を是正してもらいたいものだ。


99649ae3.jpg

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ぽちお願いします
にほんブログ村 その他スポーツブログ スケートへ
blogram投票ボタン


またお邪魔します。カナダの元・現スケーターには日本選手に好意的な人も結構いそうですが、連盟は違うんですね。今のヘンなジャッジはソルトレークのカナダペアのごり押し(失礼?)から始まったような気がして仕方ありません。
オバマ大統領にノーベル平和賞が贈られたとき、彼の言葉を支持するという意思表明だなと思ったのですが、申請に先んじて真央ちゃんを認定したギネスにも、少しそんな感じがしました。「確かに3だ!」という。どこぞの国では、日本の申請にさんざん批判があったという話でしたので、ちょっと溜飲を下げた思いも。性格悪い?(笑)。
私は素人なもので、いつも疑問に思うのですが、「名前を売っていかないと点が出ない」とか「EXでは、こんなこともできる、とアピールする」とかホントなんですか・・。ネットで議論されている皆さんは、みんながスケート経験者ではないだろうと思うのです。未経験者がこんなにあれこれ言えるのに、「評価するプロ」であるはずのジャッジが、何年も見なければその選手のスケーティング技術の評価ができないとは。プロなら、初見で見抜きなさいよ!と思うのですが。
2010/4/12(月) 午前 10:19 [ pke*k*_pi_n*an ]

もう誰も破れない
・・・と思っても、破られなかった世界記録はありません。

今、真央ちゃんしかできなくても、きっと超えていく誰かが出てくるでしょう。ギネスはそれをすぐに示してくれたんですね。うれしいことです。

スターズ・オン・アイスを見てきました。
真央ちゃん、”地上に下りた最後の天使”~(年がばれる)
世界のスターの中にあってもすごい。しなやか、なめらか、スピード、迫力3A。美しい。
・・・でも「鐘」では阿修羅でしたね!私もそう思いました。

演技力うんぬんを言う人は、何かしらの圧力でそれをこじつけるしか手立てがない?のか、感性がないのかとさえ思う私でした。

感激して泣いてしまいました。(ちなみに顔も見えない2階席)
2010/4/12(月) 午後 2:11 [ jun*u*noma*a ]

pke*k*_pi_n*an さんへ
新採点方式への切り替えは、ソルトレーク五輪の女子シングルフリーの疑惑の採点(SP4位のアメリカのヒューズ選手がLP1位につけていた後、最終滑走のSP2位のロシアのスルツカヤ選手のLPで、彼女は、技術的にも芸術的にも完璧に演技したのにも関わらず、観客の拍手が殆どなかったせいで、芸術点でヒューズ選手に抜かれ銀メダルに甘んじた。まあジャッジが、ヒューズ選手を勝たせたい余り、アメリカの観客がアンフェアーな声援を送ったことに左右されて公平な採点が出来なかったわけ。)と、ペアフリーの採点に明らかな裏取引が存在したことが、後日明るみとなり、事実このソルトレーク五輪のペアフリーの結果は、五輪記録から抹消され、ロシアのペアとカナダのペアが金メダルを分けることになった、この2つの事件に端を発しているようです。
2010/4/12(月) 午後 2:37 [ can*dak*ra ]

真央ちゃんギネス認定おめでとうございます。
あやふやなジャッジに負けず、真央ちゃんが意地で掴み取った栄光ですね。
89年の伊藤みどりさん、02年の安藤美姫さんと今回の真央ちゃん。
こうしてみると日本の選手はすごいですね。
大ちゃんの4Fも成功したら認められるかしら?
2010/4/12(月) 午後 3:12 [ nasubi ]

ソルトレイクのペアの採点での裏取引があったかのように言われている件ですが、本当はなかったのではないかというのが北米以外の認識だとも言われてます。北米メディア総動員の末に最後はフランスのジャッジが裏取引をしたと言わされたのですが、騒ぎの発端となったのはカナダペアーのサレーの記者会見での発言。これを誇大に執拗に宣伝した北米メディア。フランスジャッジにプレッシャーを与えたのはカナダ人のレフリー。最後に二つ目の金メダルを出させたのはカナダ人のIOC有力者。後日、ジャッジをやめて母国に帰ったフランス人ジャッジは、裏取引をしたという発言を撤回しています。裏取引で勝たせてもらうはずだったフランスのダンスペアは金メダルを取っていないという事実。
こういう騒ぎの裏にはカナダ人の有力者の影が見え隠れしています。他にも明らかな取引が見られたケースがあるのですが、ほとんどの場合、これほど大騒ぎになりません。

ただ、真相はともかく、採点の内容と判定基準をを視覚化しよう動きはソルトレイクに端を発するという事だけははっきりしています。ペアついては田村明子氏の「氷上の光と影」に書かれています。
2010/4/12(月) 午後 5:31 [ エミリ ]

pke*k*_pi_n*anさま
ご訪問うれしいです。ギネスは記録ということに対し、きわめて公正だったと思います。これを日本のスケ連は、自分たちの主義主張に利用しない手はないんですけどね。
プロのジャッジへの換言は、また次の記事にしますね。
2010/4/12(月) 午後 7:14 [ まさきつね ]

jun*u*noma*aさま
スターズ・オン・アイスお出かけになったのですね。眼福でしたね。
こんな素晴らしい選手たちが揃う黄金時代は過去を探してもないのですから、本当に大事にしてもらいたいものですね。
フィギュア・フィーバーを長続きさせるためにも、スケ連はファンも大事にしないといけないんですけどね。
2010/4/12(月) 午後 7:18 [ まさきつね ]

can*dak*raさま
コメントありがとうございます。
まさきつねがブログを離れている間に、ソルトレークにまで話題が発展したのですね。
皆さま仰るとおり、ソルトレークは全ての始まりでした。当時からヤグディン始め多くの選手が、新採点法に懸念を表明していました。良かれと始めたことが全て裏目に出たことにまちがいはないのですから、ISUは早急に手を打つべきなのですが、なかなか腰が重いような気がしますね。
2010/4/12(月) 午後 7:25 [ まさきつね ]

nus*en*s9*9さま
ご訪問ありがとうございます。
少し調べてみましたが、男子のギネス認定はまだないようですね。プルさま宇宙人認定とか…ないって。
あくまでギネスはお祭りみたいなものですから、演技の価値が左右されるものではないのですが、それでもやっぱりうれしいですね。
2010/4/12(月) 午後 7:31 [ まさきつね ]

エミリさま
詳しいご解説ありがとうございます。ジャッジの匿名性もソルトレークに端を発しましたね。「悪法も法なり」とはよく言ったものです。
田村明子さんの『氷上の光と影』は読み応えのある本ですね。
それにしてもソルトレークに続きバンクーバーと、北米で五輪が開かれるたびにジャッジ問題が云々されるというのは、やはり恥を知れと言いたくもなりますね。
ストイコが嘆くのも無理はありません。
2010/4/12(月) 午後 7:40 [ まさきつね ]

今田村明子さんの新刊、「パーフェクトプログラム」を一気に読み終わったところです。バンクーバーオリンピックまでの選手の軌跡を日本代表メインでレポートしたものですが、ちゃんと取材して非常に明確な文章で、大変面白かったです。批判も歯に衣着せず発言されててすごいなーと思います。長年フィギュアスケートの取材をされてきて、スケーターからの信頼も厚いのでしょうね。率直なインタビューに皆さんが素直に答えてらっしゃる様子がよくわかります。ジャーナリストはこうありたいものですね。
2010/4/13(火) 午前 0:08 [ Meiling ]

再びお邪魔いたします。ええ、確かにソルトレークのペアの決着は、灰色でしたが、1度認めてしまったからには、いくら後で撤回しても、特に北米世界では、通用しないのが現実ですし、フランスのジャッジも断固自分はそんな採点をしていない確固たる信念がなかったから認めてしまったと解釈されても仕方ないかと思いますし、実際、今も昔も判定の内実は、五十歩百歩なのも事実のようですが…
一方、現カナダのスケ連の内情は、計りかねますが、世界選手権後、パトリック・チァン選手は、4回転を跳ぶと公言しています。小生は、彼のファンでも何でもありませんが、彼のアスリートとしての誇りとカナダスケ連への牽制と抵抗を感じました。現採点法で、4回転を跳ばなくても緻密に0.1点でも多く採れるように計算され、構築されている個性の感じられない自分のプログラムに飽き足らず、自分がホッケーでなく、フィギュアスケートを選択した原点(いつかは4回転を試合で跳べる選手になる)に回帰したのではと思う次第です。
2010/4/13(火) 午前 0:14 [ can*dak*ra ]

Meilingさま
コメントありがとうございます。
仰るとおりですね。
人にはそれぞれ考え方の違いがあり、意見の相違もありますから、田村さんの本の内容を支持するしないは、読者がそれぞれ考えれば良いと思います。でも、自分で取材したこと感じたことを、正直に読者に伝えようとしている姿勢は、まちがいなく評価されてしかるべきと、まさきつねも思います。
2010/4/13(火) 午前 1:31 [ まさきつね ]

can*dak*raさま
コメントびっくりです。チャン選手は公言したのですか。…
彼のスケーティング技術は確かに群を抜いていますが、それに体力を奪われて、四回転どころか三回転ジャンプさえおぼつかないという現状なのに…挑戦する姿勢は凄いと思いますが、オーサーの「ヨナも3Aが跳べる」みたいな、吹かしに終わらなければと感じます。意地悪い邪推ですけども。
新採点法は全てが悪い訳ではないと思います。ただ、北米も欧州ロシアも、もう少し過去の確執を捨てて、冷静に必要なルール改正をお願いしたいものです。
2010/4/13(火) 午前 1:42 [ まさきつね ]

pke*k*_pi_n*anさま
お気になさらず。皆さまからいろんな考え方が伺えますから、まさきつねは論議が広がるのは大歓迎です。
何にしても過去の事件を教訓にして、これ以上ファンの気持ちと乖離しないジャッジを心がけて欲しいと、ISUに願うばかりなんですけどね。
つまんな~いと感じているのは、絶対日本だけじゃないですもんね。
2010/4/13(火) 午前 1:50 [ まさきつね ]

ええ、カナダでは結構話題になりまして、ちなみに下記URLのTSNの記事の上から3分の2辺りに載っていますので、興味がおありでしたらどうぞ。
http://www.tsn.ca/winter_sports/story/?id=315454
2010/4/13(火) 午前 4:48 [ can*dak*ra ]

can*dak*raさま
情報ありがとうございます。
なかなか興味深い内容でしたが、チャン選手に本当に必要なのはやっぱり、謙虚さと楽曲の解釈を深めることじゃないかなと思いました。
いくら素晴らしいスケーティングでも、上滑りの表現では飽きてしまう…というのが本音です。(クワドがあってもなくてもね。)
2010/4/13(火) 午後 4:49 [ まさきつね ]

まあ仕方ないです。彼はまだ19歳。特にフィギュアの演技における自己アピールに謙虚さは不要。それにWCでの高橋選手のLP終了から得点が出るまでの間、CBCの解説者カート・ブラウニング氏が、言ってましたよ。要約すると高橋選手の演技は、楽しくで遊びがあり、観客を演技に引き込み魅了する。(パトリックの演技に欠けているものがそれだと仄めかしているわけです。)まあ、これは、天賦の才(カリスマ)の成せる技、故に、チャン選手は、高難度の技を演技に加えることが、加点への近道で、唯一高橋選手のような3拍子(技術、能力、天賦の表現力)揃った選手に勝てる方法だと思い知らされたのでしょうね。努力で得られないものに拘っても結果は出ないから、が、彼の本音かも知れません。
2010/4/15(木) 午前 4:12 [ can*dak*ra ]

can*dak*raさま
そうですね。演技においては充分自己アピールすべきだと思います。チャン選手の場合は、リンクの外でジュベールやウィアーのような彼よりキャリアのある選手にまで、平気で毒づきます。若さゆえ、では済まされない部分があると思います。
高橋選手のもっているものは、チャン選手だけでなく、織田選手や小塚選手らも自分たちにないものとして羨ましく感じるところかも知れません。しかし皆が高橋選手になる必要はない。(女子の皆がキム選手になる必要はないのと同様に。)
チャン選手の滑りは、(織田選手とは違って)充分色気のある艶やかさを持っていると思います。それを生かすも殺すも、まずは謙虚に(他の選手の長所を貶めるのはなく、)自分の個性の長短を見直して、振り付けやプログラムを考えるべきと思います。
2010/4/15(木) 午前 11:06 [ まさきつね ]
関連記事
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://maquis44.blog40.fc2.com/tb.php/209-3ca41061