月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

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四大陸選手権男子シングル


男子最終結果
http://www.isuresults.com/results/fc2011/CAT001RS.HTM
男子SP結果
http://www.isuresults.com/results/fc2011/SEG001.HTM
男子SPジャッジスコア
http://www.isuresults.com/results/fc2011/fc2011_Men_SP_Scores.pdf
男子FS結果
http://www.isuresults.com/results/fc2011/SEG002.HTM
男子FSジャッジスコア
http://www.isuresults.com/results/fc2011/fc2011_Men_FS_Scores.pdf


【四大陸選手権男子結果総合】

Pl. Name Nation Points SP FS
1 高橋大輔 JPN 244.00 1 1
2 羽生結弦 JPN 228.01 3 3
3 Jeremy ABBOTT USA 225.71 2 4
4 小塚崇彦 JPN 223.52 6 2
5 Adam RIPPON USA 210.01 4 5
6 Jinlin GUAN CHN 201.98 9 6
7 Armin MAHBANOOZADEH USA 200.67 5 9
8 Jialiang WU CHN 199.78 10 7
9 Nan SONG CHN 195.13 12 8
10 Shawn SAWYER CAN 192.94 7 10
11 Kevin REYNOLDS CAN 191.55 8 11
12 Misha GE UZB 182.06 13 12
13 Abzal RAKIMGALIE KAZ 180.75 11 13
14 Joey RUSSELL CAN 171.18 14 15
15 Min-Seok KIM KOR 168.59 15 14
16 Mark WEBSTER AUS 143.54 16 16
17 Jordan JU TPE 134.33 18 17
18 Brendan KERRY AUS 125.64 17 19
19 Wun-Chang SHIH TPE 120.96 19 18
20 Stephen Li-Chung KUO TPE 117.96 20 20


四大陸選手権、男子の演技が終わった。

結果だけ見れば、アメリカ勢を三位に挟んで日本選手によるほぼ上位独占という万々歳であるが、これがそのまま世界選手権に反映されるということはまだ甘い観測なのだろう。それにしてもカナダ勢の思わぬ苦戦は何の予兆となるのか、多少気になるところではある。
ともあれレイノルズ選手といい、アメリカのリッポン選手といい、今季は十月にピーキングしたのがシーズン後半になって裏目に出たというところだろうか。北米選手たちの闘いぶりを見ていると、長いシーズンの終盤まで安定した演技を続けるということがいかに難しく、またそのコントロールこそが経験値の為せる技でワールド制覇へのひとつの鍵だと痛切に感じられた次第である。

さてもSP、FSともに他を圧倒するパフォーマンスで今大会、完全制覇を成し遂げた高橋選手には、ただもう世界選手権までこの好調ぶりをキープしていただきたいと願うばかりだろう。
それにしても全日本までは、どこかトンネルに入ってしまっていたかと思うような迷いが微かに滲んでいたのだけれど、それも晴れやかに打ち払い心・技・体のコントロールがぴたりと嵌って、光に溶け空気をすくい取って流れるような彼独特のムーブメントが踊りの情感を際立たせ、観衆のこころを楽曲最後の一音符まで、ひたひたと眼福で充たしてゆく演技だった。

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そして高橋選手と裏腹に、今回疲労という話で調子を崩してしまった小塚選手だが、ジャンプミスの多かったショートの失敗をそれでもフリーで巻き返し、台乗りは逃したものの手堅くまとめた巧さは、スピンやステップなどエレメンツを熟す基礎力に加え、相当な修練を積んだと思われる背中や四肢を使ったムーブメントによる表現力の賜物だろう。
広がりのある優雅な手足の柔らかな動きと緩急をつけたメリハリ、緩みを持たせた肩甲骨から背中にかけてのスムーズな運動の流れなど、小塚選手が優れたスケーターの域を抜け出して世界観を持った表現者へ、意識を変換しつつあることを思わせる成長の片鱗がうかがえた。

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四大陸選手権が始まる直前、二月十六日付けの日本経済新聞のコラムで高橋選手が「プライドは捨てて、がむしゃらにやるだけです」http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A88889DE0E0E5E2E1EBE1E2E2E0E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E0E2EAE0E2E3E2E1E6E6E4と語っていたが、こうした気持ちの持ち様というのは実際、選手たちの演技を画期的に変化させるものなのだろう。順位や結果ではなく、表現者として自分の目指すところを必死に追求してゆく姿勢が選手たちに「燃える気持ち」を奮い立たせ、彼らを最終的に高みへいざなっていくのだと思う。

三位に食い込んだアボット選手を始め、アメリカ勢三人は、今大会がベスト演技という訳ではなかったと思うが、それにしても今季は彼らをこれで見納めというのはやはり寂しいと思わざるを得ない。

アボット選手はかなりジャンプに苦しんでいたが、その大きな要因がスケート靴にあったのなら、怪我や故障よりはましなのかも知れないが、気の毒な話だったと思う。ただ、ナハロのショート、ウィルソンの『ライフ・イズ・ビューティフル』ともに演目としては秀逸の出来で、ノーブルで優しい彼の気質を生かした優雅な作品だったことは間違いない。
特にナハロの振り付けは上半身の動きに細かな神経が行き届いていて、昨季まで失礼ながらやや朴念仁過ぎる印象すらあった彼のパフォーマンスに、しなやかさと詩的な情感を与えたことは確かなのだ。そして(アメリカでの受けはこっちの方が高かっただろうが、)ウィルソンの振り付けもまた、アボット選手のキャラクターに「グイド」という人物像を重ねて、清潔感のある生真面目で誠実な人間のドラマを、大らかで洒落たアボット選手の陽性のパフォーマンスで表現しきっていた。
彼にとって今季のプログラムが、来季にさらに彼が飛躍するための示唆を与えるものだったとしたら、それが因果というもので、東京の世界選手権に繋がらなかった残念な結果もまた、グイドのごとく人生におけるひとつの試練として粛然と受けとめることが出来るというものだろう。

それにしても何より、今季の四大陸選手権男子シングルでもっともめざましい躍進を遂げたのは、出場選手の中で唯一加点の付くクリーンな四回転ジャンプを決め二位に入った、羽生選手だろう。
ジュニアから上がったばかりのシーズンで上出来の最後を締めくくったと思うが、今季前半はさすがに体力の配分とプログラムの調整に苦しんでいたが、薄氷を踏むようなコントロールながら最後までパフォーマンスとしての美しさを保っていく美学、頭脳的な意識操作による身体能力の調節など、見事な克己心と成長ぶりをメディアを通して見せつけてくれた気がする。

彼の今季プログラムについてはまさきつねも長らく記事に書きたいと思いながら、これまで果たせずに来てしまった。特にSPの『ホワイトレジェンド』に関しては、その果敢なさと美しさがまさに伝説たる所以なのだが、音楽と同化しつつ一瞬の煌めきを「少年美」として具現して魅せた彼の演技は、繊細でありながら緻密に構成された才知に長けてほとほと感心してしまった。

今の彼だけが持つ美しさの特性は彼自身もよく分かっているのだろうと思うが、多くの書き手も語っているように、いずれは消え去ってしまう束の間の奇跡である。「残酷な天使のテーゼ」と称すべき、あの細い首筋の描く弧はやがて月明かりの中に溶けてゆく、わずかな時間の意匠に過ぎないものなのだ。
だがそれ故に価値があり、3Aを完璧に自分の技として身につけ、それを柱に今出来る最善のエレメンツを組み立てて音楽を表現しきった揺るぎなさは、ベテラン勢にも劣らない意志の強さを感じさせた。

詰まるところ、羽生選手のウィアー選手との共鳴は果敢ない美への傾倒というだけではなく、自らの求める世界観への確信、それを表現したいという確乎たるパフォーマーとしての姿勢にもあるのだろう。

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。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

お前だけだ、曇りのない時代の遺児よ
誇らしげに美少年の恥を身につけているのは(カチュール・マンデス『童貞王』)



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まさきつねさまおはようございます

表彰台の羽生選手の初々しい表情がなんとも印象的でした。あどけなさの残る羽生選手と成熟した魅力をもつ高橋選手の表情は実に対照的でしたが、2人並んでの表彰台(フジでも君が代がきちんと流れました!)を見れたのはとても嬉しく、感慨深いものでした。
弱冠16歳の羽生選手の活躍によって、とくに日本の若い選手が触発され、ますます切磋琢磨してがんばってくれるだろうことが何より楽しみです。
そして、高橋選手らしい3Aがようやく戻ってきました!ひとつ安心しました:)
2011/2/20(日) 午前 10:14 [ とまと ]

とまとさま
コメントありがとうございます。
テレビに流れる「君が代」は仰るとおり、心に沁み通りましたね。正しいナショナリズムの在り方というのは確かにあるのです。
台の上で談話する二選手の横顔は本当に晴れ晴れとしていました。小塚選手の四位も含め、それぞれの日本選手が今大会で得た順位は、それぞれに価値あるものだったと思います。
今大会、四回転祭りとはいきませんでしたが、男子選手の跳ぶ3Aの美しさに、改めてこのジャンプの持つ特異性を感じましたね。そのジャンプを女子選手の中で唯一、浅田選手は跳んでいるのです。その意味をフィギュア関係者はもう一度咀嚼してみるべきです。
2011/2/20(日) 午後 0:26 [ まさきつね ]

まさきつねさま、こんにちは。
日経のコラム、いいですね~。表現者としてさらなる高みを目指す真摯な姿勢。いつまでも過去の栄光にしがみついている、プライドの塊のような選手に読んでもらいたいものです。
羽生選手がどこまでやってくれるか期待していたけれど、期待以上の活躍でびっくりしました。今の「少年美」を世界中の時を止めて閉じ込めておきたいけれど(私もエヴァンゲリオン風で)、この年頃は一年の成長が早いですからね。まずはスタミナをつけることかな。来シーズンが今から楽しみです。
2011/2/20(日) 午後 1:30 [ ねこまんま ]

ねこまんまさま
ご訪問うれしいです。
高橋選手の言葉はいつもながら、自分に正直で素直に心に響いてきますね。紆余曲折を経験した者の持つ重みも感じます。今回の優勝で、世界ランク一位になったと聞いています。開店休業選手がいつまでも世界ランクに据え置かれている方がおかしなことですよね。
羽生選手は仰るとおり、まずはスタミナ、筋力UPと基礎体力作りからでしょうね。でも今の彼の美、そして演技が、伝説(もしくはエヴァ風に神話かな?)として語り継がれることも間違いないでしょうね。
2011/2/20(日) 午後 2:56 [ まさきつね ]

こんばんは、まさきつね様。
アップされていた動画で4CCの演技を観ました(といっても、まだ、高橋選手の演技と、羽生選手のFSしか観れていないのですが)。
高橋選手、今季はモチベーションを上げるのに苦労していたようですね。全日本選手権で『燃える気持ち』を一気に取り戻せて本当に良かったです。
ワールドの結果は判りかねますが、きっちりと四回転ジャンプを取り戻し、願わくば、来季もアスリートとしてリンクに立つ姿を観たいと思います。
(是非、生で、試合に出る高橋選手を観たいんです!)
羽生選手、フリーの演技が終わった後の脱力しきった様子が微笑ましかったですね(プチ萌えしちゃいました)。まだ少年のあどけなさはありますが、すらりとした四肢に日本的、つまり、欧米人から見るとオリエンタルでエキゾチックな顔立ちは、豪快なジャンプに伸びしろのある演技とあわせて、外国の方受けするんじゃないかしら、と思いました。

4CCは、男子も女子も余計な選手がいなかったので、ジャッジのことを気にしなければ、本当に気持ちのいい大会になったようですね。
ワールドにこの気持ちよさを求めるのは…無理なんでしょうね~
2011/2/23(水) 午後 11:11 [ モジ ]

モジさま
ご訪問うれしいです。
高橋選手、本来は五輪で引退だったのでしょうが、今季ワールドが東京ということで何とかモチベーションを上げたのでしょうね。来季は安藤選手同様、休養するかも知れませんね…ワールドの結果如何でしょうか。
いつまでも観ていたい選手ほど、引き際を考えるのでしょうね。
ワールドはあんまり観たくもない選手にしっちゃかめっちゃかにされてしまうのかな…始まる前から何だか切ない気がしますね。
2011/2/24(木) 午後 6:44 [ まさきつね ]

はじめましてこんにちは。
まさきつねさんの羽生ユヅルの考察を読んで深く共感いたしました。
長いことフィギュアを見てきましたが、プルシェンコがいなくなり、ロシア派のスケーターがいなくなり、この先フィギュアは芸術性というかバレエ的な、不可能技術をやってさらに芸術へと昇華させるスケーターはもう出ないのかと思っていたところ、羽生ユヅルという異才が出てきたので、それをすごく待ち望んでおりました。

北米派のスケーターが表彰台を占めることになるんだろうかと失望してましたが、本当によかったです。。。
2011/3/12(土) 午前 2:10 [ SEIRYU ]

SEIRYUさま
長らくコメントに気付かず、ごめんなさい。
拙ブログは引越しの最中で、それにこのたびの震災が加わり、コメレスが出来ずにおりました。
羽生選手は仰るとおり、きわめてロシア的な芸術性を顕現させることの出来る稀有な才能を持っていると思います。彼の演技がどのように爛熟していくのか、本当に楽しみです。震災の被害からも免れて安心しました。心的なケアはまだ心配ですが、アスリートらしく立ち向かってくれると思います。
心から応援したいですね。
2011/3/21(月) 午後 1:43 [ まさきつね ]

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Comment

桔梗 says... "お疲れさまです"
まさきつねさん。
今晩は。
ブログ主には色々とご苦労がありますね。

長い文章を引用する場合は相手先のサイトのリンクを貼って、必要最低限の箇所のみ短く引用する方法はどうなんでしょう?

そうすれば、一回のテーマが長大な文章になることも避けられます。
法的には問題ないようですが、マナー上の問題は残ります。
相手の管理人さんに了解をとってからリンクを貼れば問題ないですね。

あと、市町村では弁護士の無料サービスが大抵あると思います。
1回のみ30~40分程度は話せます。ここで相談する手もあります。
2011.03.02 20:05 | URL | #KD5XUSzs [edit]
まさきつね says... "工夫はしていますが…"
桔梗さま
コメントありがとうございます。
毎回、引用のたびに工夫はしてきたつもりだったのですが、今回のNUMBERは雑誌記事で、ネット閲覧出来るものではなかったこと、それがネックでした。ネット社会ではまだ統一された著作権に関する認識がなく、放置状態が現状のようです。その中でことさら、削除したり通報したりというのは、政治的な思惑抜きには語れないことなのかも知れません。とはいえすべて推測の領域です。
ヤフーブログについては被害者の会なるものもあるらしいのですが、ちょっと方向性が違う気がします。何にせよ、これだけ多くのブログサービスがある時代ですから、顧客の立場として訴えるよりほかへ逃げるが勝ちと判断しました。
2011.03.02 22:13 | URL | #- [edit]

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