月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

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無言歌

注文21


きみは知っているだろうか
夜明け前に降る雨に似た
秘めごと
閉ざされた廃園の武装を解いて
踏み入る侵入者の
濡れた赤い唇の理由(わけ)を

*********************


 翌日、一人の男の遺体が、パリ郊外の墓地にある無碑銘の墓に葬られた。死亡証明書によると、その遺体は氏名不詳の外国人観光客のもので、その男は一九六三年八月二十五日、パリ郊外の国道でひき逃げにあって死亡したという。埋葬に立ち合ったのは、神父と警官が一人、そして役所の記録係と二人の墓掘り人夫である。白木の棺が墓穴に降ろされるのを見ても、だれ一人表情も変えなかった。ただ、少し離れたところに立っていたもう一人の男だけは、沈鬱な表情をたたえていた。すべてが終ると彼はついと顔をそむけて向きなおり、名前をきかれても答えず、墓地の小径をひとり遠ざかっていった。ひっそりと家路をたどるその孤影には、いいしれぬ寂寥感がただよっていた。
 ジャッカルの日は終ったのである。
(フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』)


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Comment

すずこ says... "ジャッカルの日"
こんばんは。
この作品、フォーサイスは取材に取材を重ね、リアルで緻密な構成で複線を張り巡らしておきながら、最後はそっけないほどにクール。ラストの冷淡さ((ある種の粋というか)にやられました。
今ではもう小説を書いていないようですが、この頃のフォーサイスはとてもレベルが高くて新作が楽しみでした。
映画も2時間でよく世界観を壊さずに作られていました。
フランスの映画館でさえ例の、「ミッテランの場面」では多くの観客が溜息をついて悔しがったそうです。
イギリスとフランスは今でもあまり親密なイメージはありませんが、エンターテインメントであれミステリーであれ、優れた作品には観客は賛辞を惜しまないものですね。

ジャッカルな子猫ちゃんにもやられましたv
2011.09.16 23:36 | URL | #yCywqnz. [edit]
まさきつね says... "冷酷な美"
すずこさま
ご訪問うれしいです。
ジャッカルはクールで孤独な主人公でしたね。冷酷なアンドロギュヌスのような魅力もたまりませんでした。
最近はアクションばかりの映画が多いですが、知的でクールなエンターテインメントをもっと観たいものですね。
2011.09.17 18:05 | URL | #- [edit]

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