月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

雪のひとひら

注文31


今朝、庭に消え残るはだらの雪に
触れながら
ゆきすぎた歳月 どうしようもなく
重ねてきたいくつもの嘘と
不誠実を思う
雪をのせた山茶花の蕾
真綿の白につつまれた赤が
偽らぬ胸のいたみ
(このようなときに 母に優しくなれないような
娘でいたくはなかった)
生きてゆくだけで
いのちはおびただしく
ほかのいのちを奪う
そのかなしみに寄り添うように
ほっと消えてゆくのは指の先の
雪のひとひら

*********************


彼女の生涯はつつましいものでした。この身はささやかな雪のひとひらにすぎず、片時もそれ以上のものであったり、それ以上を望んだりしたことはありませんでした。けれども、こうしてふり返ってみると、彼女は終始役に立つものであり、その目的を果たすために必要とされるところに、つねに居合わせていたわけでした。
「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。さあ、ようこそおかえり」
(ポール・ギャリコ『雪のひとひら』)


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Comment

踊り子 says... "感謝"
こんにちは。
10月のポエム、短歌に「石榴」が続けて出ていました…赤は血の色を想像させます。生きている証でもあり、方や傷ついて苦しむイメージも浮かびました。秋が深まって風景が黄色に…NHK杯の札幌は空の青さに見事な黄金が生えていましたよ~。12月、この1年に起こったあれこれすべてが真っ白な雪におおわれ、来春、再びすべてが生まれ変わるのを待ちます。
コトバから広がる世界は身体表現と同じように奥深く、想像力をかき立ててくれます。
まさきつねさま、
どうぞこれからも、ゆっくり、ゆっくりと…

楽しみにしております。
2011.12.21 16:07 | URL | #- [edit]
まさきつね says... "ゆっくり、ゆっくりと"
踊り子さま
コメントうれしいです。
石榴は女性に優しい果物で、まさきつねはあのほのかな甘さと酸味が好きです。血のような赤も宝石のようですよね。美しさと酷さと、人生のような両面を見せてくれますね。
雪も、その白い清らかさが隠してゆく嘘を思うと、誠実であることの欺瞞について考えます。でもクリスマスの季節にはやっぱり、清らかに生まれ変わる雪の優しさ温かさを思いたいですね。
ゆっくり、ゆっくりと…そうですね。
わた雪が降るように生きていきたいです。
2011.12.22 00:08 | URL | #- [edit]
ジェード・ランジェイ says... "雪の思い出"
始めまして
美しい”雪”に目が吸い付けられました。雪のように儚く、消えては溶ける
でも、その冷たさは 生きている証。あこがれの一条帝后定子の宮が見た”香炉峰の雪”少納言と賭けをした残雪。3.11以後の東北の地にも降雪が。
明日の見えぬ 揺れる大地に寄り添う、我ら日本人は今こそ、詩に、歌に、歴史に
励ましを得る時と思います。素敵です、ゆっくりゆっくり わた雪が降るように
与えてもらう人から 与えられる人に代わっていけたらと、切に願います。
2012.01.08 12:43 | URL | #- [edit]
まさきつね says... "いつかお返しを"
ジェード・ランジェイさま
初めまして。コメントうれしいです。
香炉峰の雪は少納言に漢詩の学才あってこその受け答えでした。
現代では、島国根性を払拭し国際人を目指して英語力を身につけろなどと取り沙汰していますが、日本人は昔から世界視野の教養を尊ぶ文化人だったのです。だからこそ、枕草子や源氏物語といった平安文学が西欧社会でも高い評価を受けるのでしょうね。
日本には歴史が積み重ねてきた文化、芸術があり、美しい自然と言葉があります。それは昔から、地震、津波、台風といった厄災の裏腹にもたらされたものでしたが、古来より悲しみに裏打ちされた美しさを、日本人は愛おしんできたのです。
だからきっとこの国は、このたびの厄災にもくじけることなく、過去からの遺産と世界からの援助に支えられて立ち直ることでしょう。そして新生したこの国がまたいつか、助けられた多くの国々に返礼出来たらと思います。
2012.01.09 22:13 | URL | #- [edit]

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