月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

帰宅

○注文39


夜のにおいを連れて
家の猫が帰ってきた
闇の中でも 妖精は
草叢に真珠を落としてゆく
小鳥がつついた暦の嘘を
この家の主人は気づかない
そして 深い睡りにつきたい薔薇は
白いローブを脱ぎすてる

窓の外にはお月さま

ディキンソン家の床下では
ネズミが紅茶を嗜んでいる

*********************

 
 僕ガ僕デアルカ木村デアルカサヘモ分ラナクナッタ。(三月十九日夫の日記)。

 ソレカラ何時間後デアツタカ、又違ツタ夢ヲ見テヰタ。最初ハ木村ガ裸体ノママデ立ツテヰルヤウニ思へタガ、胴カラ生へテヰル首ガ、木村ニナツタリ僕ニナツタリ、木村ノ首ト僕ノ首トガ一ツ胴カラ生へタリシテ、ソノ全体ガ又二重ニ見エタ。……(三月廿四日夫の日記)。

 でも木村さんはかう云ふ風に考へることは出来ないでせうか、私の夫と木村さんとは一身同体で、あの人の中にあなたもある、二人は二にして一であると。……(三月廿六日妻の日記)

(谷崎潤一郎『鍵』)


○注文40-2


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