月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

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秋野を走る思念 其の弐


何はともあれ、こうしてカナダ杯がまざまざと再確認させてくれた、バンクーバー採点の今季継続と、ウィルソンやローリー・ニコルらカナダ人のコレオグラファーとジャッジの癒着に関しては、もはや昨今のフィギュア界とはそうしたものと半ば諦観せざるを得ないのが実情なのだろう。

ところで、本題の小塚選手に話を差し戻したいのだが、バンクーバー採点のPCSやGOEによる評価はさておいて、彼のフリープログラム、リストの『ピアノ協奏曲第一番』の演技や盛り込まれたスケーティング技術を今こそ振り返っておきたい。

☆takahiko kozuka 2010 FS☆


とりあえず、ジャパンオープンの構成とリザルトから。

1 4T 10.30 (-3.00) 7.30
2 1A 1.10 (-0.06) 1.04
3 3Lz+2T  7.40 (0.40) 7.80
4 CCoSp3  3.00 (0.50) 3.50
5 SeSt3  3.30 (0.79) 4.09
6 3A+2T+2Lo 11.70 (-1.00) 10.70
7 3F e  5.83 X (-0.50) 5.33
8 3Lz+3T  11.11 X (0.80)11.91
9 3Lo    5.61 X (0.80) 6.41
10 3S    4.62 X (0.50) 5.12
11 FSSp4  3.00 (0.57) 3.57
12 ChSt1   2.00 (1.43) 3.43
13 FCCoSp3 3.00 (0.79) 3.79
技術点73.99


振り付けは三年前にも組んだというマリナ・ズエワによるもの。

小塚選手のインタビューによると、「僕自身、このフリーに関しては本当に気に入っていて、作っていただいたマリナ・ズエワ先生も、『このプログラムはタカにとってすごくいいプログラムで、この曲、このリストのピアノ(協奏曲)第1番=タカ になり得るプログラムだと思うからがんばりなさい』と言われたぐらい」とのことだが、確かにこの正統派のクラシック曲と小塚選手の端正な演技との相性は良く、洗練された気品を来年のリストイヤーに体現するものになるだろう。

彼自身が「三年たって、自分の中でも引き出しが増えてき」たというように、さらに磨きがかかってきたのは音を拾って繊細な演技に変換していく巧みさ、伸びやかな滑りに変幻自在な動きを加えていく無理のないナチュラルさである。

冒頭のジャンプに入る前の振り付けと中盤のサーペンタインステップがまずは見どころと思うが、音のひとつひとつに反応して、煌めくようなリストのピアノを鋭いエッジワークに変幻させる、とても秀麗なプログラムなのだ。

この小塚選手の演技について、「爽やかな紫翠の風が吹き抜けたような」と評した友人がいるが、技巧を技巧として見せず、上がっていくスピードに滑りのダイナミズムを体感させ、ノーブルな動きに支配した空間との融合を閃かせる、まさに卓抜したスケート技術だと思う。
膝の柔らかさ、大きく動かす体の安定感などは、「別格」と謳われたチャン選手にも勝ると感じる。

小塚選手の演技表現は、地味で印象が薄いという意見も洩れ聞くが、チャン選手の余裕を感じさせるフットワークに対するとやや強引な感のある上半身のリアクションに、若干誇張地味の印象を持つ人たちにとっては、小塚選手のスケートに滲む流れるようなさりげなさ、凛とした奥ゆかしさがたまらなく魅力的に映るだろう。

音楽の奥行きがアリーナの奥行きになり、音楽と一体になったスケーティングが観衆の視点と一体になって、いつしか小塚選手の思念も観衆の想像力も、氷上にトレースを刻みつけてゆくひとすじの風のように清冽な演技に凝縮され、あられもなく暴虐なフィギュア界のジャッジングを一掃する静かな力になればいい。

理知的な小塚選手の思念が、ポジティブに世界を変えてゆく透明感に充ちたパフォーマンスに変容し、「何でもいいんです優勝すれば、ねっ!」という至純な言葉を生み出すような、アスリートたちのひたむきで欺瞞のない挑戦へ向かう力を喚起すればいい。

きみは清雅なる光に充ちた宇宙の、見えざるがゆえに果てしなき可能性を持つ存在。

秋の野のえのころや蚊帳吊り草が揺れる向こうに、白く光る昼の月を眺めながら、そんなことを考えてみた。



☆おまけ☆FOI 2010 Takahiko Kozuka & Yamato-nadeshiko
やまとなでしこから愛のキスを

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まさきつねさまこんにちは。
ジャパンオープンより進化した小塚選手の演技、楽しみですね。
本当に、今期に入って小塚選手の演技が少し変わったように思います。うまく表現できませんが、柔らかさが出たというか。
中国杯は地上波放送があるようなので、録画しておいて楽しみます。
録画のほうが余分な見たくないところ、見なくて済みますし。
☆おまけ☆楽しかったです。話には聞いていたのですが、小塚選手は、災難でしたね。
2010/11/4(木) 午前 10:37 [ meiling ]

お邪魔致します。
小塚選手は、フィギュア界の一服の清涼剤 !まさきつねさまの前回の記事の小塚選手のイーグルの写真の美しい事!浅田選手と同じように、彼もどのスケーティングの部分をきりとっても 美しいとため息をついております。氷の上に立っただけで美しい選手って何人いるでしょうか?数少ない一人と思っております。そこがチャン選手との決定的な違いでしょうか。チャン選手の上半身の動きは美しいとは言えないですね。
2010/11/4(木) 午後 0:46 [ mairie ]

続きです-
チャン選手は肘の動きが固く、脇の下に空間が感じられず、肩から手の先まで柔らかさがありません。小塚選手は、スケーティングがすばらしいのに加えて上半身の動きもスムーズに美しくなりました。それは、本当に努力しているんだろうなと思います。ジャッジに一喜一憂せずにひたすら努力する姿は、真央選手と重なって見える事があります。小塚選手も爽やかさだけではなく、音楽性にもすぐれ、表現力も出て来たと思います。ジャンプの4回転と3Aの調整がうまく行きますように。応援しています。
2010/11/4(木) 午後 1:09 [ mairie ]

meilingさま
コメントうれしいです。
小塚選手、やはり五輪シーズンを契機に、ひとつ殻を破った感じがありますね。高橋選手や織田選手にはない、彼の持ち味を生かす方向性を見出したような部分もあります。
話変わりますが、やまと選手も素晴らしい四回転ジャンパーでしたね。やまとなでしこのお好みはやはり、エロ紳士や忍者よりもうぶな生真面目青年でしょう。まあ厄落としとでも考えておきましょうね。
2010/11/4(木) 午後 6:04 [ まさきつね ]

mairieさま
演技に向かうストイックさは、佐藤陣営の選手たちの共通項かも知れませんね。チャン選手に関してはいろいろな方から、キム選手に似ているという指摘をいただきました。ジャッジの偏愛を受けている人間の共通項でしょうか。バンクーバーに間に合わなかったという点は、残念だったのかな。同国のストイコでさえ、彼の言動には眉をひそめていますね。生き方に対する批判や賛同は、国や文化を超えるのでしょうね。
2010/11/4(木) 午後 6:17 [ まさきつね ]

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