月船書林

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彼岸花咲く


彼岸花が冷たい十月の雨に濡れている。

赤く、血の色を思わせる花色と有毒性の特色から嫌われることも多い花であるが、道端に群生する夏の終わりから秋にかけて、風物詩の一つであることは間違いない。
元々自生の植物ではなく、中国から帰化したもので、稲作の伝来とともに土を荒らす小動物を避けるためにあえて持ち込まれたとも、薬あるいは救荒食になる有用植物として広まったとも考えられている。いずれにしても、人里に近しい植物であることは確かで、田畑の周辺や畔や堤防、墓地などに花時は列を為して美しい景観を作っている。

有名な新美南吉の童話『ごんぎつね』の中にも、彼岸花は非常に印象的な場面に登場する。
いたずら狐のごんが軽い気持ちでうなぎ獲りの邪魔をした兵十の母親の葬列を見守るかのように、彼岸花が「赤いきれのように」咲き続いているのだ。葬式の様子をうかがっていたごんは、兵十が病床の母親のためにうなぎを捕まえていたと悟り、自分のいたずらを反省して償いの日々を送ることになる。だが、ごんの気持ちは兵十には届くことなく、童話は悲しい結末を迎えている。

こうした日本の里の秋を彩ってきたのが彼岸花の群生だった訳なのだが、近頃は赤い花に交じって、白花曼珠沙華の群れがちらほら見えるようになった。

一般には黄色の鍾馗水仙(ショウキズイセン)と赤色の彼岸花を交配した改良種と言われているのだが、山野草とする説もあるようだ。あまり珍しくないらしい九州以南では二種の自然交配も考えられるのだが、本州では花期が僅かにずれるために交配説をとるのが難しいというのが理由だという。

興味深いのは名前の件で、なぜ「白彼岸花」とか「白花鍾馗水仙」と名付けなかったのかということだが、彼岸花の別名である「曼珠沙華」は元来、仏典にある「天上に咲く花。白くて柔らかく、見る者に悪を離れさせるはたらきがあるという」というものに由来し、白い品種に「曼珠沙華」の名を当てたのはごく自然のことだったようだ。

彼岸花自体、異名の多い花で、「死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、剃刀花(かみそりばな)、狐花(きつねばな)、捨子花(すてごばな)、はっかけばばあ」等々、どちらかというと不吉と忌み嫌われる背景を思わせるものばかりだが、「天蓋花(てんがいばな)」ともいい、どこかあの世とこの世の境目がけぶる世界に白い花序が並んでいるのも、最後まで兵十に通じることはなかったもののたがうことなく美しく清楚だったごんのこころのように、胸が切なくなる光景であろう。

さて、言葉を交わすことの出来ない獣と人間であるが故に致し方のなかった悲劇ではあったけれど、ひとりぼっちの狐と母親を失って天涯孤独な人間がお互いの淋しさを理解し合う、魂の結びつきについては、絶望的な結末を超える清澄で詩的な感動がある。多くの人を揺さぶる感激は、決して形や数字として表れる結果だけがもたらすものではない。人と人の結びつきなら、それは尚更のことであろう。


もうすでに、多くのブログでご紹介されているものだが、浅田選手とプルシェンコ選手の繋がりと交感に焦点を当てた動画である。
☆浅田真央とプルシェンコの交流をまとめた動画(2010.7〜)☆

さらにもうひとつ。浅田選手、プルシェンコ選手ふたりの天才の、幼少時から今に至るまで、その夢の軌跡を描いた動画も上げておく。
☆ふたりの夢が届きますように/浅田真央とプルシェンコ応援MAD☆

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悔いるこころの 曼珠沙華燃ゆる   
なかなか死ねない 彼岸花さく   
曼珠沙華咲いて ここがわたしの 寝るところ  
歩きつづける 彼岸花咲きつづける  
お彼岸の お彼岸花を みほとけに  
彼岸花さくふるさとは お墓のあるばかり  
いつまで生きる 曼珠沙華咲きだした  
ここを墓場とし 曼珠沙華燃ゆる   
曼珠沙華のみ眼に燃えて 野分夕空し(種田山頭火)

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はじめまして。いつも興味深く拝読しております。

白色や黄色の彼岸花は、てっきり突然変異なのだと思っていましたが、黄色は異種、白色は交雑種とは勉強になりました。
ほとんどの彼岸花は種をつけない三倍体で、種はとても希少だそうですね。
「葉見ず花見ず」の異称のように、普段は目立たないのに突然印象的な花を咲かせること、しかも、時には種が飛んできて突然庭先に生えることもあり、神秘的な花です。
赤花に混じった白花はとても儚い印象ですが、ご掲載の写真では緑に映えてとても美しいですね。

浅田選手の昨シーズンのFS「鐘」は、赤花の彼岸花に例えられるかもしれません。
今季の「愛の夢」は、白百合のようであって欲しいです。
2010/10/17(日) 午前 10:47 [ 無花果 ]

無花果さま
コメントうれしいです。
まさきつねもこの写真の白色曼珠沙華を見た時、浅田選手の今季EXのバラードを思い出したりしました。赤い彼岸花は確かに昨季の『鐘』のイメージですね。
これからも、美しい花に譬えられる演技を選手たちにお願いしたいですね。
2010/10/17(日) 午後 4:33 [ まさきつね ]

恥ずかしながらはじめて白い彼岸花を知りました。
本当にあの世とこの世の間に咲いていそうで釘付けになります。

何も話さないのに、心の無い花なのに、姿だけで人の心を掴むものがあります。清らかさを感じます。

そんで・・真央さんのスパイラルですね。
2010/10/19(火) 午後 2:54 [ jun*u*noma*a ]

jun*u*noma*aさま
コメントうれしいです。
白という色はやはり、独特のインパクトがありますね。こころのないものに心を感じるのは、ひとならではの想いでしょうね。
そう、浅田選手のシャーロット…美しい残像ですね。
2010/10/19(火) 午後 10:15 [ まさきつね ]

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