月船書林

フィギュアスケートの話題を中心に芸術を語る

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青春の旅立ち


トニー・ウィーラーさんのジャパンオープンの感想から、日本選手に関する部分をご紹介する。まずは女子。

The Japan Open:The Ladies
http://tony-wheeler.blogspot.com/2010/10/japan-open-ladies.html


日本の安藤美姫は二番目に演技をした。彼女の新しいFSプログラムは、エドヴァルド・グリーグの『ピアノ協奏曲イ短調』だった。前半はトリプルルッツーダブルループのコンビネーションを皮切りに、3ターンからのトリプルループ、ダブルアクセル?トリプルトゥループのコンビネーションという力強いジャンプ構成である。後半、二度目トリプルルッツは回転不足で着氷が乱れ手を付いたが、その直後のトリプルサルコウ、トリプルトゥループで持ち直した。 中盤から30秒間続いた連続ジャンプの最後四番目のエレメントは、ダブルアクセル?ダブルループ?シングルループだったが、セカンドジャンプがかなりの回転不足だったため、最後をシングルで収めたようだ。最初のスピンは回転速度が速くしっかりした出来に見えたが、プログラム終盤のフライングキャメルスピンとステップシークエンスの足さばきは、ずさんな出来で、全体的に小さくまとまり過ぎた感じがした。スケーティング技術の見せ場がほとんどなかった中盤の演技でも、彼女は音楽を巧く捉えていたが、その中に幾つか彼女は素晴らしいセクションを見せていた。ただその特定のセクション以外には、僕がこれまでの彼女のプログラムに感じているのと同様、特別取り上げるような部分が少ない感想を受けてしまった。 彼女の得点は 115.02で六人中二位の成績。

浅田真央の演技は五番目。 彼女もまた新しいFSプログラム、リストの『愛の夢』を初お披露目した。僕が観るのを心待ちにしていたプログラムだった。まずはダブルアクセル?トリプルトゥループのコビネーションで開始したが回転不足だった。 完全なダウングレード対象ではなかったが、アンダー・ローテーションと呼ばれる判定になった。 その後の演技は、あれよと坂を転がり落ちるような出来だった。 トリプルフリップは弾けてシングルになり、跳び上がった瞬間に失敗とわかるトリプルルッツは転倒、予定ではトリプルアクセルだったジャンプも弾けシングルになり、しかも両足で着氷してしまった。トリプルフリップはまたも転倒したが、その直後はいつもながら見事なスパイラル、トリプルサルコウとトリプルループで立て直し、幾らか自分を取り戻した様子だった。ただどちらのジャンプも非常にあやしいエッジで着氷しており、サルコウもアンダー・ローテーションと判断されている。 彼女はコンビネーションスピンではいつも、僕が大好きなスプリットポジションを見せてくれるのだが、最後のフライングシットからキャッチフットのポジションでは、やや崩れ、何とか持ちこたえたという有様だった。

評価出来る側面は、昨年の真央に僕が感じた無骨で感情の起伏が激しい内容よりも、より滑らかな滑りを見せ、基本的に常に豪華な印象があること。(昨年は前半のジャンプに集中していたのに比べて)プログラム全体に繋ぎの要素が組み込まれているのだが、スケーティングの速度がまだかなり遅いと感じる。 ソチにピークを予定して、目標のために彼女がスケートを調整中だったとも考えられるが、今回は単なる失敗だったのかも知れない。演技の見せ場がトリプルアクセルではなくなっていることは確かだが、彼女がそれ以外のジャンプを確実にものにするために、今年は最高の結果を目指すことを犠牲にしたとしても、僕は驚くことはない。 プログラム自体は間違いなく、僕が数年前偏愛していた、やわらかく叙情的な真央の世界を目指すものだ。得点は残念ながら六人中五位の 92.44で終了し、彼女のコンポーネントスコアも四位にしか達しなかった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


Ladies - Free Skating Results
1Joannie ROCHETTECAN 122.71 58.95 63.767.93 7.71 8.07 8.07 8.07 0.00 #6
2Miki ANDO JPN 115.02 57.01 59.017.54 7.14 7.32 7.39 7.50 1.00 #2
3Cynthia PHANEUFCAN 99.50 42.94 57.567.18 6.93 7.18 7.25 7.43 1.00 #3
4Sarah MEIERSUI 92.73 39.81 52.926.75 6.43 6.57 6.71 6.61 0.00 #4
5Mao ASADA JPN 92.44 37.28 57.16 7.46 7.04 6.68 7.43 7.11 2.00 #5
6Julia SEBESTYENHUN 81.48 30.50 50.986.61 6.18 6.36 6.39 6.32 0.00 #1

ウィーラーさんもネットのビデオ・クリップからの感想らしく、ファヌーフ選手やマイヤー選手に関してはまだ未見ということでほかの四人についての記述しか寄せられていない。また、シェベスチェン選手は急遽レピスト選手の替わりで出場した現役引退選手、ロシェット選手も今シーズンは競技参加が未定ということで、ウィーラーさんもさほど注目した部分はないようだ。

安藤選手の演技については、ウィーラーさんは大筋で予測通りだったのか、あまり持ち上げてはいないが、彼女に好く合った選曲で、大きく崩れない洗練された選手の実力を感じさせた。

序盤のループジャンプの入り方が美しく、その後に続くスピンも流れがあり、新しいポジションやコンビネーションでも左右の足さばきを堪能させるなどの工夫を凝らして、今までにない見せ場を作っている。
繋ぎの部分の情感もたっぷりで、止まった演技でも四肢に柔らかな表情を見せ、決して飽きさせないのは今の彼女らしい持ち味だろう。

五連続のジャンプは後になるにつれ迫力を増すのはさすがだが、時間のタイミングによって、ひとつめが前半ジャンプのカウントになるのはいかんせん難しいところ。だが曲の盛り上がりを捉えて回転を合わせているのは、ウィーラーさんの言葉にもあったが、優雅なジャンプに力強い印象を与えると思う。

ステップは確かに今回まとまり過ぎた感はあるが、シーズンが進めば音楽に馴染んで、壮大な楽調を表現出来るようになるのだろう。スピンのレベルも、複雑なジャッジの基準や要件がまさきつねにはとても理解出来ない範疇なのだが、これからの調整次第で得点源として、もっと上げられる部分になると思う。


一方、浅田選手については、大きな技術的部分で厳しい内容だったにも拘らず、ウィーラーさんも今後に期待といった所見だろう。
☆Mao Asada 2010 japan open NEW FS Liebestraum☆


ジャンプの構成についてはファンの間でも、現状維持か変更ありきか意見の分かれるところだが、冒頭に跳んでいたトリプルアクセルを中盤に投入したことで後半のエレメントの比重がやや重くなり、直後のフリップから曲に追われるような展開になってジャンプやスピンに余裕がなくなるというリスクが生じる懸念がなきにしもあらずということだ。

ルッツやサルコウを含め、六種のトリプルを組み入れたチャレンジは評価に値するのだが、後が詰まって要素をこなすのに追われると演技が硬く閉鎖的になり、結果、無理をして怪我に至ることがなければ良いがというのが、見直しを求める側の主旨であろう。
苦手ジャンプの試行錯誤が続くようなら、こうした懸念も考えねばなるまいが、練習で跳べていたという現況からすると、浅田選手に決して熟し切れない構成や配置ではないと思う。プログラム構成に関しては、(ダブルアクセル頼みのようなジュニアクラスのものならいざ知らず、)何が万全の配置と内容かというお定まりもない訳で、結局のところ、ソチまでのスパンを考慮した六種ジャンプの習得は必須であろうが、今シーズンの結果をある程度投げ捨てることを覚悟した上での矯正と挑戦という辺りが、選手本人やファンに容易ではない決意と苦渋の選択を強いるのだろう。

ジャンプ以外の要素や繋ぎに関しては、リンク全体を巧く生かした、やわらかく自然な流れのある作りになっているのが、いかにもニコルらしい。スピンやスパイラルについてはまだ、レベル獲りや見せ場としての活かし方に難があるのではと感じるが、これも今後の調整課題のひとつに過ぎまい。

全体の印象はウィーラーさんの言う、心を包み込むような「抒情的」な感動を湧き起こすものだったし、それは浅田選手の演技に対し、(たとえ今回のコンポーネントスコアが低かったとしても)昨季からのジャッジが抱いているであろうイメージを一新する新鮮さをもたらすだろう。

いずれにしても、ウィーラーさんが安藤選手以上の記述で紙面を割いていることからしても、浅田真央という選手は多くのフィギュアファンの心を掻き乱し、彼女の挑戦が競技全体の希望であるかのような一種の期待感を抱かせるものだということではないのだろうか。

その結果の如何に関係なく、彼女の意気込み自体のスケールの大きさが、シーズンを待ち焦がれるファンのわくわくした冒険心を搔き立てるのだ。


迷わない二十歳の青春が、今季のテーマとなるのだろう。

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まさきつね様再びこんばんは。

挑戦し続ける真央さんに何度驚かされ・ほれ直した事か。
JOのジャンプ構成で四年後に目指すもの見た思いです。矯正途中にもかかわらず果敢に挑戦してきたことにその意気込みを感じ感動しました(会場にいました)。安藤選手と共に今季の目標を東京・世界選手権で達成できるよう心から祈っています。2007年のように表彰台の高いところに二人で並ぶ姿が見たいです。

来季のJOでまたこの微笑ましい四人の姿も。
2010/10/14(木) 午後 7:54 [ nori ]

noriさま
仲の良い日本選手は、日本の誇りだとまさきつねは思います。
しかし欧米では、仲間内で和気藹々とやっていることをあまり評価せず、孤立無援に結果を出している選手を、独立自尊という風に好意的に見る向きが一般的なようです。
たとえそうであっても、やはり日本のファンは、仲の良い選手たちの楽しげな姿を観たいと思いますね。
2010/10/17(日) 午前 1:11 [ まさきつね ]

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